2024年11月以降、短期の中国渡航の際にビザの申請が不要になった中国。数ある都市の中でも上海は日本から約2時間半ほどで到着することができ、多くの観光資源がそろっているため、現在注目が高まっている渡航先です。
そんな上海は世界でも有数の国際都市であり、超高層ビル群が立ち並ぶ街並みは、一度は写真で見た方も多いでしょう。
一方で少し足を運ぶと、上海市内とは思えないのどかな光景が広がるエリアがあります。風情漂う水郷の町、それが朱家角です。
このページでは上海観光地の一つである朱家角について解説していきます。
朱家角とは?

朱家角とは、上海市青浦区に位置する水郷の町です。朱家角古鎮とも呼ばれており、古鎮は中国語で「古い村」を意味しています。1991年に上海市歴史文化街区に指定され、2004年には国家AAAA級観光地にも指定されました。そして2007年には第3回国家歴史文化街区に選ばれるなど、今では上海を代表する有名観光地となり、国内外問わず多くの観光客でにぎわっています。

中国では観光地に等級が定められており、A1~A5までの5段階で評価されています。Aが多くなる程観光地としての質が高く、観光地の重要性、衛生面、交通手段などを総合して評価されます。
朱家角古鎮の景観区の面積は約3.08平方キロメートルあり、当時の生活に利用された水郷を中心に港や村が網の目のように張り巡らされています。ここには明・清時代に建てられた1,000棟もの建築物が立ち並んでおり、川には当時からの36基の橋が架かるなど、至る所に名所・跡地が残っているため、どこを歩いても情緒あふれる古き良き中国を感じることができます。
一方でこのような建築物の外観を残しながら、内装はカフェやバー、お土産屋さんなどの観光客向けに改装されている建物も多くあります。レストランや食べ歩きできる食べ物を扱っているお店も多く、ゆっくり観光すると半日~1日滞在できる魅力が詰まったエリアといえるでしょう。

ガイドブックによってはあまり多くの情報が載っていない朱家角。観光地としてはそこまで規模は大きくないと予想していたのが大間違い。見どころは多く、最低でも半日は必要と感じました。
アクセス方法
上海市内から地下鉄に乗車し、約1時間ほどで最寄り駅である「朱家角駅」に到着します。朱家角駅からは徒歩約15分ほどで到着します。朱家角古鎮の入口は複数あり、朱家角駅からインフォメーションセンターにある入口は徒歩約30分ほどかかるので、途中の川沿いから降りて朱家角古鎮に入っていく方が圧倒的に早いです。

上記画像は朱家角古鎮の全体地図です。そして赤い矢印が朱家角駅です。ここから約15分歩くと赤い丸印にたどり着きます。川を渡って橋の横に階段があるので、そこから降りると古き街並みが並んでいます。
画像上の方に青丸があります。こちらはツーリストセンターとなっており、団体客などはこちらに観光バスが到着して観光が始まります。朱家角駅から徒歩で約30分はかかるので、ツーリストセンターに行きたい場合はタクシーを利用する方がいいでしょう。
または駅周辺で営業をかけてくる自転車に座席がついた人力車?のような乗り物に乗ってしまうのもありです。これは朱家角周辺では普通に走っており、観光客も利用している姿をちらほら見かけました。観光気分を味わうにはうってつけの乗り物です。

朱家角駅から観光エリアまでは坂も少なく基本的には平坦な道です。道路も舗装されているので歩くこと自体は難しくありません。
上海市内主要駅からの地下鉄アクセス方法

上海市内から地下鉄を利用する場合、どの駅から出発しても17号線「虹橋火車駅」で乗り換える必要があります。17号線は上海地下鉄の中でも新しく作られた電車で、現在地が掲示板に記載されているため乗り越しの心配はないでしょう。ちなみに朱家角駅は17号線の駅で終点から3駅手前にあります。
- 上海浦東国際空港駅から:2号線で虹橋火車駅まで行き、乗り換えのため下車。
- 17号線に乗車し、朱家角駅にて下車。所要時間約2時間15分。
- 人民広場駅や南京東路駅(上海一の繁華街)から:2号線で虹橋火車駅まで行き、乗り換えのため下車。
- 17号線に乗車し、朱家角駅にて下車。所要時間約1時間15分。
- 豫園駅(観光地豫園)から:10号線で虹橋火車駅まで行き、乗り換えのため下車。
- 17号線に乗車し、朱家角駅にて下車。所要時間約1時間15分。
- 陸家嘴駅(浦東地区。超高層ビル群周辺)から:2号線で虹橋火車駅まで行き、乗り換えのため下車。
- 17号線に乗車し、朱家角駅にて下車。所要時間約1時間30分。
上海市内の各観光地からは約1時間15分前後で朱家角駅に到着することができます。朱家角駅からは徒歩約15分(ツーリストセンターなら約30分)で朱家角古鎮にたどり着きます。トータルすると上海市内から朱家角古鎮までは1時間30分~2時間ほどの所要時間を見ておくといいでしょう。
朱家角駅から朱家角古鎮までの徒歩での行き方
上記画像の赤丸までは徒歩で約15分、青丸は約30分かかります。道中は基本的に平坦な道が続きますが、上海の夏は非常に暑いので無理のないペースで歩きましょう。途中には食堂や水分を購入できるお店もたくさんあります。
今回は徒歩でも行きやすい赤丸へのアクセス方法を解説していきます。

朱家角駅には複数出口がありますが、朱家角古鎮に一番近いのは1番出口です。出口から出て左側に大きな交差点があるのでそこを進行方向に渡ります。

交差点を渡って左折するとしばらくまっすぐ歩きます。この道は「珠渓路」といい、よく整備されており歩きやすい道です。進行方向右側は見晴らしがよく広いため景色も良いです。橋の上には珠渓路の看板もあります。
珠渓路を約250m歩いたところに大きめのT字路があります。そこを右に曲がります。珠渓路を歩いて最初の分岐点なのでわかりやすいと思います。

T字路を曲がると次の交差点まで直進です。約500m歩きます。この直線には食堂やスーパーなどの路面店が立ち並んでいるので、休憩や水分の購入には便利です。私が訪れた時は、まだ時間が早かったのか営業しているお店は半分ほどでした。飲食店はお昼からの営業が多いのかもしれません。

交差点手前には地元の市場「朱家角菜市場」があり目印になります。この市場の反対側に渡り、そのまま交差点を直進するとすぐに橋が見えてきます。その橋を渡りきると右手に階段があり、川沿いを歩ける道があります。そこが朱家角古鎮(画像の赤丸)になります。
そこからは道なりに進んでいくと観光地の中心部へたどり着けます。

上記は橋の上からの風景です。このあたりから朱家角の昔ながらの水郷の町らしさがうかがえます。
ちなみにツーリストセンター(青丸)まで行くには、この橋を渡り、さらにずっとまっすぐ進むと右手に大きな建物が見えてきます。そちらがツーリストセンターです。ツーリストセンターには大きな駐車場があるため、バスツアーの団体客やタクシーなどを利用してきた方はこちらから観光が始まることになります。
ツーリストセンターにはとりわけ重要なものはありませんが、朱家角古鎮のマップが置いてあります。私が調べた限りでは朱家角古鎮のマップはインフォメーションセンターにしか置いていなかったので、必要な方はインフォメーションセンターまで取りに行かなくてはなりません。
ツアーに参加するのも選択肢の一つ
上海市内発のバスツアーやチャーター車のツアーを利用することで、地下鉄の乗り換えなどの心配もなく快適に朱家角の観光を楽しむことができます。大手ツアー取扱会社のkkdayでは、上海市内発の朱家角ツアーを複数取り扱っています。ツアー内容によっては朱家角とセットで他の観光地を巡るものもあるので、上海観光を有意義に回りたい方にはうってつけのパックとなっています。
朱家角観光スポット
朱家角古鎮は約3.08平方キロメートルあるエリア内に魅力的な風景や施設が多く存在しています。観光エリア内には交通機関やレンタサイクルはなく、徒歩で移動することになります。
道中は幅が狭い道もあり、混雑してくるとお祭りの縁日のように動きづらくなります。午前中は比較的空いていますが、午後になるほど観光客が増え、夜のライトアップを見ようと人が押し寄せます。

実際に足を運んだ際に感じたことは、朱家角古鎮は主に3種類のエリア別特徴があるように思えました。
今回は朱家角駅から歩いたと仮定して、青→黄色→赤の順で各エリアの風景を解説していきます。

橋の横にある階段を下り川沿いを通っている路地を進んでいくと、しばらくは白壁の中国家屋が並んでいます。ところどころデザイン画が描かれている箇所もありますが、基本的には住宅街で実際に住民が住んでいます。住民の飾らない生活の一面が見れ、観光客もあまり通っていませんので、のんびりと風景を楽しむことができます。
民家なので住民に迷惑にならないように静かに観光しましょう。

一定の場所まで歩くと白塗りの建物は姿を消し、一気に昔の中国をイメージさせる街並みに変わります。この辺りからカフェやお土産屋が現れはじめます。この辺りは観光エリアの端っこになるので、中心部より人通りが少なく、写真撮影や散策をゆっくりと楽しめます。カフェ内も混雑していませんので、人混みが苦手な方はこちらで休憩するのがおすすめです。

中国らしさがある小さな提灯がとても可愛らしいです。

青エリアにはいくつかの猫カフェもありました。どのお店の猫も非常におとなしく、リードが繋げられていない状態でお店の玄関でじっとしています。こんな歴史的な地区になぜ猫カフェ??と思いながら、このミスマッチ感が中国らしい良い文化だなあと写真を撮り続けました。

レトロな通りをしばらく歩いていくと、右手に川が流れているエリアにたどり着きます。このあたりから歩道が広くなり、観光客向けのお店も多くなっていきます。また、要所で橋がかかっており、川の反対側(黄色エリア)に移動することもできます。

朱家角に架けられている36の橋の中で唯一木造の橋で、名前を「廊橋(ろうきょう)」と呼びます。青エリアと黄色エリアを結んでおり、廊橋を渡ると朱家角で一番賑やかでお土産屋がそろう北大街につながています。

北大街から廊橋への入口は非常に狭い通路なので見落としがちです。

青エリアから続く橋を渡ると、朱家角で一番栄えている通り「北大街」にたどり着きます。この通りはレトロな街並みはそのままに、美味しそうなお菓子やスムージーなどお祭りの縁日のような雰囲気があるため、歩いているだけで楽しい場所です。
中には中国らしい食べ物の臭豆腐や虫なども見かけました。中国の食文化に挑戦してみたい方はぜひトライしてみてくださいね。
また、朱家角は名物のちまきがあります。ちまきはこの北大街や赤エリアに密集しているので、簡単に見つけることができます。日本人の口にあう癖のない味わいでとてもおいしいので、朱家角に来たらぜひ食べていただきたい食べ物です。

ご飯はもちもち、中は大きな肉の塊がゴロっと入っています。まるで角煮のような柔らかさで、味付けも独特な香辛料の香りもなく非常に食べやすいです。食べ歩きする旨伝えると、葉っぱから取り外してくれてビニールに入れてくれます。
コンビニおにぎりの倍はあるであろう重量のちまきのお値段は約200円。大満足です。

こちらの橋は朱家角観光には外せない見どころの「放生橋」です。5つのアーチを持っており、全長72m、幅5.8m、高さ7.4mの放生橋は上海地区では最長、最大といわれています。この橋の名前の由来は、かつて放生橋の下では魚を取ることが禁じられ、放流のみが認められていたのでこの名前がつきました。
画像手前は船着き場となっており、ここ以外にも複数ヵ所に存在します。朱家角では水郷巡りツアーも行っているので、歩き疲れた際に休憩がてら利用してみるのも良い思い出になるでしょう。

放生橋からの風景です。高さがあるので見晴らしがよく絶好の写真スポットです。朱家角で1、2を争うほどの人気エリアであり、多くの観光客が橋の上で写真を撮っているのですが、注意していただきたいのが橋の手すりの高さが低いということ。約50㎝ほどしかなく非常に低いうえに観光客が多いので、気を抜くと川に落ちてしまいます。観光の際はご注意くださいね。

放生橋の脇にはスターバックスや中国でおなじみのLuckin Coffee、フルーツティー屋さんなどの小休止できるお店が数点並んでいます。店内で休憩するのもいいですが、放生橋のすぐ横には「放生亭」というどなたでも利用可能な休憩施設があり、景色がいいのでそちらでドリンクを楽しむのがおススメです。

水郷の村を感じるのにはぴったりのエリアです。広く作られた水路に柳の木が垂れ下がり、両脇には古風なたたずまいのお土産屋さんや食べ物屋さんが並んでおり、どこを切り取っても良い写真がとれます。歩道は広いので比較的ゆっくりと観光することができます。

川沿いを歩いていると船乗り場が見えてきます。船は6人乗りで行き先によりますが、200元~300元/1隻となっており、複数人で乗る方がお得に乗船できます。少人数の場合は声をかけて一緒に乗ってくれる人を集めるのも良いでしょう。

赤エリアは朱家角の名物であるちまきのお店が多いです。どのお店も店頭にずらりとちまきが並んでいます。ちまきだけでも10種類ほどあり、それぞれ中に入っている具が違います。お肉が入っているちまきもあれば、あんこのようなものが入っているスイーツ系ちまきもあります。
種類が多いので、迷ったら店員さんにおすすめを聞くのが早いでしょう。またはグーグル翻訳でメニューを翻訳すると、はずれを引くことはないでしょう。

赤エリアの外になりますが、マップ左上にツーリストセンターがあり、そこで朱家角の地図がもらえます。基本的には赤エリアからはツーリストセンターに行くことができない(逆走になる)ので、行きたい場合は一度朱家角古鎮から抜けて、マップ左側を通っている珠湖路を北に進んでいくとツーリストセンターにたどり着きます。

ツーリストセンターは広いですが意外と何もありません。地図が欲しい人以外は無理していく必要はないと思います。
まとめ:朱家角は行く価値ありの観光地!
上海は大都会なので、どこを観光しても高層ビル群が立ち並びます。そんな喧騒から少し離れた観光地に行きたいのであれば、朱家角は最高の観光スポットです。
上海中心部から約1時間30分で来ることのできる朱家角で「上海らしくない上海」を体験してみてはいかがでしょうか。